シビくま

twitterでは書ききれないことの貯蔵庫兼忘備録

【映画感想:ネタバレ有】オブリビオン

 今見た映画の感想を書こう。

 忘れないうちに書こう。

 ツイッターは長文が苦手だから適当なブログにでも書いておこう。

 おそらく14,5年ぶりにブログを始めようと思ったきっかけである。

 そしてそのきっかけを与えてくれたのが、映画”オブリビオン”。プライムビデオを漁っていたらたまたまトップの方に出てきたから見た。ただそれだけの理由。本編を見るまでトム・クルーズ主演とも知らなかったが、見終えた後に感想を残しておきたいと思うくらいには面白く、満足感を得られた。

 

 というわけで、早速映画の感想を書いていこう。

 舞台は60年前にスカヴというエイリアンの侵略を受け、荒廃した西暦2077年の地球。主人公のジャックは相棒のヴィクトリアとともに、海水からエネルギーを取り出すプラント(だったと思う)と警備用のドローンの維持管理をするため、テット(本部のようなもの)から任期付きで地球に派遣されているという設定。

 文明が崩壊した後の廃墟だらけの世界、海水を延々とくみ上げる巨大な機械のようなプラント、白を基調とした未来的な住居と小型飛行機、そして直径2mはありそうな球体状のドローン。序盤からこれらが次々に登場するこの世界観に、すぐに引き込まれた。

 自分は廃墟が結構好きだ。巨大な機械も好きだ。未来的なテクノロジーや、なぜか色は白で無機質で全く生活感が無いことがお決まりになっている近未来の住居が好きだ。そして、同じく無機質だがどこか愛嬌がある目を持ち、独特な駆動音を発しながら俊敏に動き回り、よくわからないレーザー兵器を乱射する本作のドローンが大好きだ。

 つまり、すぐにこの映画を気に入った。トム・クルーズではなくジェイソン・ステイサムが主演だったとしても気に入っただろう。

 

 さて、映画の内容に戻り、ジャックが故障したドローンからの信号をたどり、着いた先でスカヴの待ち伏せにあい、襲われるが危ういところでドローンが登場、銃を乱射しスカヴをあっという間に一掃するシーンがある。

 覚えている限りではスカヴのちゃんとした初登場シーンだったと思うが、ここでは特に違和感を感じることなく、適性エイリアンだなとしか思わなかった。

 

 しかし、違和感を感じたのは次のヤマ場のシーン。スカヴが発信した信号に誘われ、宇宙船のようなものが不時着。ジャックは不時着現場に急行し、コールドスリープカプセルに入った5人の生存者を発見する。同じく急行してきたドローンが生存者入りのカプセルに無慈悲な攻撃を加え4人が死亡するも、最後の1人はジャックが必死に守り抜く、というシーン。スカヴが遠くから現場を見ている描写があるのだが、その振る舞いというか姿というか、『お前ら、人間じゃねえか?』という直感を得たのである。

 そしてその直感はすぐに当たりだと判明した。

 

 ジャックが救出した生存者はジュリアという女性。ジュリアは救助された翌日の朝には、宇宙船に戻りデータを回収したいと主張。ジャックはジュリアとともに墜落現場に戻るも、スカヴの襲撃にあい捕えられてしまう。そして、スカヴのアジトに拉致されたジャックが知る衝撃の真実とは、『スカヴは人間だ』というもの。

 正直、やっぱりかとは感じたが、けっして興ざめというわけではなく、どうしてそうなったのか、続きが知りたいと思えたのは、そこまでの導入やストーリーの構成が良いとか、なにか惹きつけられるような理由があったのだと思う。映画評論家ではないのでそれが何なのかはよくわからないが。

 

 さて、なんやかんやあって、ジャックが発信した信号をヴィクトリアがキャッチ、迎え用に派遣した飛行機に乗ってジャックとジュリアは帰宅。ところが飛行機のカメラ越しに抱き合う2人を見たヴィクトリアがご立腹。秘密にしていた”宇宙船からジュリアを救出した”という事実と、ジャックとはもはやパートナーではないという旨をテットに報告してしまう。直後、自宅で修理中だったと思われるドローンが起動し、ジャックを狙ったのかはわからないが、結果的にヴィクトリアをレーザーで木端微塵。

 このシーン、正直なところジャックと比べて規則規則とうるさく、どこか地球人味が感じられなかったヴィクトリアが死んだところで、特に何も感じなかったのは言うまでもない。別に嫌なキャラクターと感じていたわけでもないのになぜだろうと思ったのだが、その理由は終盤でわかることになる。

 

 自宅から飛行機で飛び出したジャックとジュリア。そこに追手のドローン3機が迫る。なんとか撃退したと思いきや、最後の1機からの捨て身の突進を受けると、飛行機はバランスを崩し、放射能汚染区域に不時着してしまう。そこで出会ったのは機体番号の52が書かれた飛行機に乗り、52と印字されたユニフォームを着たもう1人のジャックだった。

 実は序盤から登場していたジャックは、コードネーム”Tech-49”。そして放射能汚染区域には入ることができず、狭い範囲内のみで活動をしていた。逆に言えば、限られた範囲の外側のことは全く知らない状況に置かれていたのである。

 ここまで見せられればさすがに察するが、ジャック(とおそらくヴィクトリア)はクローンであり、放射能汚染区域はクローン同士がかち合わないようにするための仕組みであった。ここで、テット側がいよいよ怪しくなってきたぞと思うわけだが、ドローンとの派手な空中戦やジャック同士の戦いといった戦闘シーンを楽しんでいるうちに、自然に真実に迫っていくという、導き方が素晴らしいと感じた。

 ちなみに、ヴィクトリアに感じていた地球人味の無さは、テットが生み出し記憶などを新たに植え付けたクローンだったからなのかな、と納得するのであった。

 

 さて、ストーリーは終盤。スカヴのアジトに戻ったジャックとジュリアは、テットを破壊するためスカヴに協力することを決意。爆弾を乗せたドローンをいよいよ発信させるというその時。テット側のドローン3機が襲来。アジト内の人間を次々に殺害する。

 このシーンのドローン、件の駆動音を鳴らしながら狭い建物内を信じられないキレのある動きで飛び回る。とてもカッコいい。当然ストーリーの都合上人間に破壊されてしまうのだが、それでもすごくテクノロジー味を感じてカッコいい。素晴らしい。

 そしてもう1人。スカヴ側の指導者的なおじいさん、マルコムがドローン1機を落とす活躍も良かった。ちなみにこのマルコム、なんとなくマトリックスのモーフィアスに雰囲気が似ていると思うのだがどうだろうか。

 

 ドローンを撃破したスカヴだが、攻撃に使おうとしていた自軍のドローンも大破。テットまでは自力で爆弾を運ぶことになる。ジャックは自分なら疑われずにテットに戻れると主張。するとジュリアもついていくと言う。ジャックは止めるが押し切られ、ジュリアは爆弾と一緒にコールドスリープカプセルに入り、ジャックが操縦する飛行機に積み込まれる。

 テットに着くと、戻ってきた理由を問いただされるものの、ジャックはうまく回答してこれを回避し、深部への着陸に成功。カプセルから姿を現すモーフィアス(マルコム)。マルコムとジュリアのカプセルをすり替え、ジュリアを生かしたのだ。そして、ジャックとマルコムは燃料電池10個とジュリアの宇宙船から拝借した(たしか)プルトニウムで作った爆弾を起爆。テットを爆破し地球に平和が訪れる。

 ほぼラストシーンだが、冷静に考えると少しツッコみたい箇所がある。

 1つ目は、テットはなぜジャックを明らかに中枢と思われる場所まで誘導したのか。テットはジュリアのクローンを作りたいから、戻るように仕向けたという考察を読み、なるほどと思ったが、それでも中枢まで入れてしまったのは不用心だと感じる。

 2つ目は、爆弾の威力。テットの規模感がわかりづらいので何とも言えないが、燃料電池と核燃料のハイブリッド爆弾はすげえなと言わざるを得ない。まあ、1個でキノコ雲を作れるターミネーター3の燃料セルのようなものと考えれば、テットを破壊できるほどの威力があっても不思議ではないか。

 細かいツッコみどころはあったが、結局は敵母船に侵入し爆破というシンプルなインデペンデンス・デイ的なラストだった分、余計にカプセルからモーフィアスが出てきた時の衝撃が頭から離れない。いい意味で不意を突かれた。”テットを爆破する瞬間をこの目で見たい”みたいなことを言っていたので、その発言を回収するいいオチだったと思う。

 

 最後に、テット爆破から3年後、ジュリアと娘が地表にあるジャックの元隠れ家で暮らしているシーンが挿入される。そこに元スカヴとともにジャックが現れる。放射能汚染区域でジュリアと接触したTech-52である。

 これに関しては特に感想はない。52からすれば探し求めたジュリアに会えたのだから幸せだろう。ただし、ジュリアさんサイドについては不明だ。ジュリアが52を受け入れられるなら幸せになってほしいとは思うが、そこまでの描写はなかったので、視聴者としては判断がつかないのである。

 

 オブリビオン、本作は全体的に話の流れがわかりやすく、自然に話を理解できるつくりになっているから、面白く感じたのだと思う。事実、この手のSF映画としては珍しく、世界観や設定、登場人物の関係性、ストーリーを1発で把握できた。詰め込みすぎず、複雑すぎず、かといってボリューム不足でもない。いいバランスなのだ。

 

 最初は特に期待をしていたわけではなかったが、面白い映画だった。あと、ドローンがカッコいい。ほしい。

 

 以上。非常に長々と書いてしまった。次からは気を付けよう。