シビくま

twitterでは書ききれないことの貯蔵庫兼忘備録

【映画感想:ネタバレ有】LOOPER

 日曜日に見た映画その2。オブリビオンの次。

 プライムビデオを漁っていたら、青っぽいブルース・ウィリスが目に飛び込んできた。視聴決定。ブルース・ウィリスが好きだからである。

 だが、映画を見ている途中に気づいた。正確には、自分は故 野沢那智さんの声で”クソッタレェィ”と叫びながら銃をぶっ放すブルース・ウィリスが好きなのだ、と。

 

 だからこそ結論を最初に言ってしまうが、本作はあまり面白くはなかった。

 理由はいくつかあるが、まずはごく簡単に本作の内容を整理しよう。

 

 舞台は、未来にタイムマシンが開発されるという世界。タイムマシンは世界の秩序のため公には使用できないように制限されているが、(なぜか)犯罪組織のみが証拠を残さず殺人を犯すために積極的に使っている。その方法は殺しのターゲットを拘束し、過去(つまり劇中の現在)に送って過去の殺し屋が即座に殺害、死体を処理するというもの。

 主人公のジョーは殺し屋側。未来から送られてくるターゲットを順調に殺し、得た報酬で遊んで暮らしている。

 ところがある日、目の前に現れたターゲットは30年後の自分自身。しかも逃げられる。

 現代のジョーはターゲットに逃げられた失態により、犯罪組織から追われる身に。

 一方、未来から送られてきたジョーの目的はただ1つ。自分の人生(現代ジョーからすれば今後30年間)で得た幸せを台無しにした巨悪、『レインメーカー』という人物を幼いうちに殺してしまおうということ。

 なんやかんやあって、未来ジョーは子供時代のレインメーカー(名前はシド)とその母親を特定し、襲撃。2人を追い詰めた。レインメーカーを必死に逃がす母親。母親もろとも射殺しようとする未来ジョー。

 そこに居合わせた現代ジョーは、母親を目の前で殺されたシドが未来でレインメーカーになってしまうことを予見し、それを防ぐために未来ジョーを止めようとする。その手段は自殺。現代ジョーが自殺した瞬間、未来ジョーは跡形もなく消え失せ、シドと母親の2人は無事生存。というおはなし。

 

 それでは完走した感想。

 まずもって、ブルース・ウィリスの出番が少ない。ブルースが演じる未来ジョー出てくるまでが長く、その後も出番の割合は現代ジョー6割、シド2割、未来ジョー2割くらいに感じた。この時点でブルース・ウィリスに釣られた自分としては不完全燃焼。

 さらに、未来ジョーがなんとなくおとなしくて、マクレーン味を感じない。いや、レインメーカー候補の子供を容赦なくSATSUGAIしたり、やることはやっているんだが、そうじゃない。もっとボロボロになってほしいしダクトの中をはいずりまわってほしいし情けない声で叫びながら銃を乱射してほしいのだ。

 唯一興奮したシーンがある。未来ジョーが現代の犯罪組織に捕まったシーン。簡単に拘束を解き、相手の銃を奪い、両手でマシンガンを連射しながら大勢の敵を相手に無双して見せた。

 これだよ。これでこそマクレーン。本作で初めてブルース・ウィリスブルース・ウィリスに見えた瞬間であった。

 

 自分で無茶苦茶を言っているのはわかっている。だが、自分の中ではブルース=マクレーン、マクレーン=ボロボロでダクトで情けない叫び声でNY市警、つまり”ブルース=ボロボロでダクトで情けない叫び声でNY市警”という完璧な三段論法が強烈に成り立ってしまっているのだ。

 本作のブルースは、奪われた人生を取り戻そうとする冷徹な元殺し屋。そういう役は見事に演じていたのだと思う。

 ただし、残念ながら自分が求めるものとは全く違った。ミスマッチだった。ただそれだけなのである。

 

 その他疑問は少しあるので書いてみる。

1.なぜ未来の犯罪組織だけがタイムマシンを自由に使えるのか

2.未来ジョーは殺し屋になるとき、30年後に殺されるという契約を理解して締結したはずなのに、実際に殺されかけたとたんキレすぎじゃね?

3.現代ジョーが死んだ瞬間、未来ジョーも消えるのはおかしくないか?

 2番目はストーリー上しかたないのかもしれないが、1番と3番は劇中でそれが当たり前の事実、現象であるかのごとく、何の説明もなく運用されていた。3番目で言えば、現代の人物Aの指が切り落とされると、未来から送られてきた未来Aの指も即座に消え失せる現象を犯罪組織が利用していたのである。

 なんとなくおかしいんじゃないかと思いつつも、受け入れざるを得なかったことが、感情移入というか世界観に入り込むことがあまりできなかった理由ではないかと思うのだ。

 

 現代ジョーの心理もよくわからない。

 未来ジョーのことはあくまで他人事。あんたの人生はあんたのこと、30年間で十分楽しんだんだからオレに迷惑をかけるな、だからおとなしく殺されてくれ、というもの。言っていることはわかるし、そりゃそうだとも思う。

 だが、一応それ自分だぜ?もう少し話をきいてやってもいいのではと思わざるを得ない。なんなら協力するふりをしてだまし討ちで殺してしまうとか、もっとやりようがあったのではないか。

 そういうジョーどうしの駆け引きみたいなものがもっとあれば、もう少し面白くなったんじゃないかなーと感じてしまう。

 

 また、ストーリーも大きなヤマ場があるとも感じることができず、先が読めない展開というわけでもなく、かといって1度見ただけではなんとなくすっきりしない部分が残る。どうしても直前に見たオブリビオンと比較してしまうので、余計にそう思ってしまうのである。

 

 最後になるが、今まで述べたとおり、ブルース主演映画として期待して見た分落胆したところは確かに大きい。だが、ひとつの映画としては悪い映画ではないのだと思う。

 

 ただ、次にブルース・ウィリスの映画を見るときは、ジョン・マクレーンに会えることを期待したい。